伝えたいこと、たったひとつ
瞬間を閉じこめた永遠。
---「幸福の先への物語」
「それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで
ある程度まではみんなに共通いたします」
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
みんなのおのおののなかのすべてですから)
--- 『春と修羅』 序
櫻の芸術家が、絵画と共に残した詩の最後には、この様に刻まれていた。
芸術家は死に、その後には、ありふれた人々の、ありふれた幸福の風景が広がる。
--- 『櫻[1]ノ詩』
春。
世界的な美術家である父の死により、天涯孤独となった主人公・草薙直哉は、親友である夏目圭の家へと世話になることになる。
そこには、直哉が通う学園の担任である夏目藍、圭の妹で女優の夏目雫との交流が待っていた。
そして、新学期の到来と共に、遠い昔に転校した幼なじみ・御桜稟が、再び直哉の前に現れる。
風に巻く桜の花びらの向こう、それは、約束されていた再会の如く――。
時の刻みが想いを重ね、感情の奔流が形になるとき、そこで出会う光景とは?
凍結され続けていた、サクラノ詩プロジェクトがついに再始動。
「言葉と旋律」「幸福に生きよ」をテーマに書き上げられた『素晴らしき日々~不連続存在~』のすかぢが、
そのテーマを踏襲しつつその先の物語である『サクラノ詩』を描ききる。
原画家には狗神煌、籠目を起用。10年越しの物語が実力派スタッフによって結実する。
素晴らしき日々の先の話、梯子の上にある風景は、それは反哲学的物語。ごく自然な日常の物語。
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