探偵討議部へようこそ①  #3|WEM

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探偵討議部へようこそ①  #3|WEM

2023-07-27 00:44| 来源: 网络整理| 查看: 265

前回までのあらすじリーゼント男に騙されて、「探偵討議部」なる謎の部活に入部したことにされた主人公、ハシモト君は、入部お断りを入れるべく、毅然と「BOX」という建物の中にある部室を訪れる。ところがそこには、新歓の際に目撃した「赤いスーツの女性」がおり、ハシモト君はなし崩し的に「エビばかりが回る回転寿司」という訳のわからぬ話を聞かせれるのであった。

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「なんかつまんなーい。その話、人は死なないんですかあ?」唐突に隣の女の子の声がした。

「今日こそ『人死に』の話が聞けると思ったのにい。」見ると隣に座っている活発そうな女の子が薄笑い(に見えた)を浮かべながら耳を疑うようなことを言う。怖い。

「『リョーキちゃん』向けの話ではなかったかも知れんね。ロダンくんは自分の話で人を殺したこと、あらへんからねえ、、。」と微笑で答える美人部長。「意外とそれだけエビばかり食べさせられてたら、人一人くらい死ぬかもしれへんよ。でも、今はリョーキちゃんの意見を聞く時間とは違う。デストロイくんのQ&Aタイムやからね。」

はーい、と口をとがらせる「リョーキちゃん」。彼女は何者なんだろう?とにかく個性的な人であることは今の会話でわかった。

代わっておもむろに立ち上がるデストロイ先輩。一言目は、、。「その日は9月の第三月曜日、ってわけではないよね?」

「正確な日付はわからないなあ、、。」とロダン先輩。ギリシャ彫刻を思わせる顔が、訝しげに陰る。

「了解。では、エビばかり握っている店員のみなさんは迷惑そうだったか?」

「そうではなかったよ。むしろとても喜んでる風だった、らしい。」

「昼時にもかかわらず、店はとても空いていた、という話だったが、話に出てくる『君の友だち』以外に何組くらいの客がいたのか?男性、女性も分かる範囲で教えてくれ。」

「目視できる範囲では、一人だけやった。男性か女性かは、謎解きには関係ない、と思うけどなあ、、。」

「では、その一人の男性、もしくは女性は、怒涛のように流れてくるエビだけを食べていた、という認識でよいのか?」

「そういうことだよねえ、、。」自分で話しているにもかかわらず、少し自信を失いかけているようなロダン先輩の返答に、矢継ぎ早にデストロイ先輩の質問が飛ぶ。

「その人物は嬉しそうにエビを食べているのか?それとも苦しそうにか?」

「多少は苦しかったんちゃうかなあ、、普通に。だって、エビばっかりだもの。」

「張り紙の内容を聞くのは、『根幹的秘密の開示』に当たるだろうからやめておくが、『エビ特売日』の類ではないことだけ確認させてくれ。」

「うん、そうではない。エビの値段は関係ないよ。」

そこまで聞くと、デストロイ先輩はおもむろに冷徹な笑みを浮かべ、「君の提示した謎は、コンプリートリーデストローーイ。」と、謎の決め台詞を放った。その後、自信ありげに、悠々と先輩は着席した。

その時、、。「バタン」と部室のドアが閉まる音がして、部員は一斉にそちらの方を振り向いた。

「お、遅れてすんません。」俯いてモゴモゴと弁解めいたものを口走るその闖入者、、。

「あ」、、。思わず声が漏れた。僕を騙して、入部届けに署名させ、拇印まで押させた人物、、。「リーゼント先輩」だ。この時改めて僕は今日部室に来た理由を思い出した。そう、僕はこの「望まぬ入部」の事情を説明し、お断りするためにここを訪れたのだった。

それにしても、新歓の時と同じく、リーゼントにアロハシャツのリーゼント先輩だったが、随分印象が違う。あの時はグラサンに拡声器で大音声の演説をぶっていたのに、、。部室の中で見ると、オドオドしてるようにさえ見え、、ハッキリ言って挙動不審だ。

リーゼント先輩は、誰とも目を合わせることなく、僕の存在にも気づいていないかのように部屋の片隅に陣取ると、バックから本を取り出した。よく見るとそれは僕も愛読してる週刊少年漫画誌であり、ご丁寧に栞まで挟んである。リーゼント先輩は読みさしのページを丁寧な手つきで開き、食い入るように読み始めた、、。一体何をしに来たのだろう?

「ほな、デストロイくんの謎解きを聞こうか。」部長の声がして、リーゼント先輩を除く全員の視線が、デストロイ先輩に集まった、、。が、。

「おっと、その前に、、。」と発言したのは、先ほどから如何にも可笑しそうにロダン先輩の話を聞いていた部長の左隣の長身の男性。イギリス紳士を思わせる上品なファッション。これは巷でいうところの「トラッド」というやつか?ファッションのことは実は全く知らないけどね。そして、その右手には、、。

「パ、パイポ?」まごうかたなき禁煙用パイポが細い指に握り締められていた。タバコをやめようとしているのであろうか?

「なにかあるん?『シューリンガンくん』?」

「シューリンガン」先輩は、微笑みを浮かべて立ち上がると僕に一瞥を投げて話し出した。

「今日の即興探偵討議は、新入生への部活動プレゼンテーションを兼ねてるわけですよね。だから、ロダン君もいわば『初級編』の謎を提示してくれたわけだ。ならば、競技の概要を説明するためにも、『ジャッジ』がいた方が良いのではないですか?」

「なるほど、それもそうやね。普段は即興討議にはジャッジまではつけへんけどね、、。」

「ならば、僭越ながら、僕がジャッジ役を務めさせていただきます。」

「ええやろ。」

部長の短い一言を聞くと、シューリンガン先輩(パイポだからシューリンガンなのであろうか?)は僕の方を向き直り、、。

「探偵討議は、『謎を提示する側』と、それを『解く側』に別れることは、これまでの流れでわかったよね?謎を提示する側は、できるだけ解く側をあっと言わせるような話を出さなくてはならないのだが、、。

しばしばここで犯してしまうミスは、謎を解くために必要十分な材料を提示しない、ということだ。例えばだが、『いま、『アロハ』が遅刻したにもかかわらず、平気で漫画を読んでいるのはなぜでしょう?』という謎が提示されたとする。」あれ?この先輩はやたらに饒舌だ。

「な、な、、なんで俺やねん!」リーゼント先輩が虚をつかれたように漫画から顔を上げて真っ赤な顔で不満の意を表明する。って、いうか、リーゼント先輩は「アロハ」という呼び名だったのか、、。

シューリンガン先輩は、それを「まあまあ、、。」と微笑みで制すると、、。

「それには無限の解釈が可能だ。解く側が一つの結論に絞れるようにするためには、謎を解くカギが十分に提示されていなくてはならない。これを『フェアネス』と探偵討議では呼ぶ。

例えば、件のアロハに関する謎では、『アロハが遅刻するのは今日に限ったことではない』、『曜日によって、持ってくる漫画が違う』、『漫画には栞を欠かさないほど真剣に読んでいる』、『アロハの家では、7つもの目覚まし時計が常勤として稼働している。』などの情報が不可欠で、これをもって初めて、『アロハの遅刻も、部活動に漫画が優先することも、謎でもなんでもなく、寝坊と怠慢という名の日常である』という結論が導かれるわけだ。むしろ『なぜ、律儀に遅れても部活にでてくるのか』、の方が僕にとっては謎なんだが、、。」

さらっとシューリンガン先輩はひどいことを言う。爽やかな外見に似合わず、毒舌キャラの人なのであろうか。

「ウ、ウ、ウチムラ!お前は何でいつも俺ばっかりにそんな厳しいんや!」

真っ赤になって激昂する「アロハ先輩」を誰か止めてくれないのもかと、僕はオロオロと周りを見回したのだが、、。いつもの光景なのか皆平然としたものだ。たった一人の例外を除いて、、。

その例外、「リョーキちゃん」は、明らかに顔を赤らめ、ウルウルと潤んだ、なんだか熱いものを含んだ瞳でシューリンガン先輩とアロハ先輩を交互に見つめていた。こうしてみるとかなりかわいい子だな、、。一体何を考えてるんだろ?

「はい、そこまで。アロハくん。部内では名前呼んだらあかんよ。」

ようやく部長が制止にはいる。というか、探偵討議部では、そのような「太陽にほえろシステム」が導入されてるんだろうか、、。

アロハ先輩は不承不承に着席し、また漫画の研究に没頭し始めた。それを見届けたシューリンガン先輩は、「茶目っ気」たっぷりの笑顔で話を続ける。

「つまり『フェアネス』とは、『謎を解くに十分な情報を探偵側に提示しているか』、ということだね。謎そのものの美しさである『エレガンス』、提示した話に筋が通っているかを示す『ロジック』と、この『フェアネス』が、ジャッジが提示側を採点するための基準となるわけだ。ここまでいいかな?」

「はぁ、何となく。」入部を断るつもりできたはずが、いつの間にか巻き込まれつつあることを自覚しながらも、僕はやむなく答えた。ええと、「謎を解くカギが十分提供されているか」、「謎が美しいか」、「筋が通っているか」、ね。

「一方、探偵側はどう採点されるかと言えば、提示側のストーリーをどこまで正確に解明できたかの『プリサイスネス』、その解明に至る過程の『ロジック』、そして、如何に探偵らしく解明した謎を披露したかの『インプレッション』、この三項目で採点される。」

「なるほど。」

理屈はわかった。だが、競技とはいえ、そんなにポンポンと提出された謎が解明できるものなのだろうか。

「だが、この採点基準だと余りに探偵側が不利になるんだ。君のその、『今一つ納得できん』、と言う顔が示す通り、、。」

僕はギクリとした。そう。どう考えても普段から謎のストックができる『提示側』の方が、それを『解明する側』よりも有利になるはず。これが競技として成り立つのだろうか、、。

「基本探偵討議は提示側が有利だ。探偵側の不利を減らすために、通常の大会では前日の午前中までに探偵側に『謎』の概要を、ジャッジには謎とその解決編を伝えておかなければならない。今日のこれは即興の簡易版だけどね。こういう練習を通して、謎を解く力を養っていく、ということだ。」

「はぁ。」

「それでも不利な探偵側には、『勝利するためのもう一つの道』、が準備されている。これはおいおい説明しよう。ルールの話があまりに長くなったから、ここらでデストロイの推理を聞こうじゃないか。」

それだけ言うと、シューリンガン先輩は優雅に着席し、デストロイ先輩にウインクした。忘れていた。

デストロイ先輩が、「君の謎はデストローイ」とかいう決め台詞を放ってから、かれこれ10分近くが経過していた。その間放置された形のデストロイ先輩だが、特に動じた様子もなく、クールに立ち上がった。

(続く)



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