正弦定理とは?公式や証明、計算問題をわかりやすく解説 |
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この記事では、「正弦定理」についてできるだけわかりやすく解説していきます。 正弦定理の公式や証明、計算問題の解き方を詳しく説明していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!
目次 正弦定理とは?正弦定理の公式正弦定理の証明正弦定理の覚え方正弦定理の計算問題計算問題①「正弦定理で辺の長さを求める」計算問題②「正弦定理で外接円の半径を求める」 正弦定理とは?正弦定理とは、三角形の内角の正弦 \((\sin)\) とその対辺の長さの比、そして外接円の半径との関係を示した定理です。 正弦定理の公式 正弦定理\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、頂点 \(\mathrm{A}\)、\(\mathrm{B}\)、\(\mathrm{C}\) に向かい合う辺の長さをそれぞれ \(a\)、\(b\)、\(c\) とすると、\(\triangle \mathrm{ABC}\) とその外接円について以下が成り立つ。 \begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{a}{\sin \mathrm{A}} = \frac{b}{\sin \mathrm{B}} = \frac{c}{\sin \mathrm{C}} = 2R}\end{align} 「\(\color{red}{\displaystyle \frac{\text{対応する辺の長さ}}{\text{角の正弦 (\(\sin\))}} = \text{直径}}\)」と言葉で覚えておいてもいいですね。 正弦定理の証明 ここでは、正弦定理がどうして成り立つのかを、証明を通して説明します。 証明\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、その外接円の半径を \(R\) としたとき、\(\displaystyle \frac{a}{\sin \mathrm{A}} = 2R\) が成り立つことを示せ。
この等式を変形した「\(a = 2R \sin \mathrm{A}\)」について、\(\angle \mathrm{A}\) が (i) 鋭角、(ii) 直角、(iii) 鈍角の \(3\) 通りに場合分けして、それぞれが成り立つことを確認していきます。 外接円の中にうまく直角三角形を作るのがポイントです。 証明
\(\displaystyle \frac{a}{\sin \mathrm{A}} = 2R\) より \(a = 2R \sin \mathrm{A}\) …(*) とおく。
(i) \(\angle \mathrm{A} < 90^\circ\) のとき \(\triangle \mathrm{ABC}\) の外接円について、頂点 \(\mathrm{B}\) を通る直径を \(\mathrm{BD}\) とし、点 \(\mathrm{D}\) と点 \(\mathrm{C}\) を結ぶ。 円周角の定理から \(\angle \mathrm{BDC} = \angle \mathrm{A}\)
\(\mathrm{BD}\) は直径なので \(\angle \mathrm{BCD} = 90^\circ\)
よって、\(\triangle \mathrm{BDC}\) は直角三角形であるから \(\mathrm{BC} = \mathrm{BD} \sin \angle \mathrm{BDC}\) \(\mathrm{BC} = a\), \(\mathrm{BD} = 2R\), \(\angle \mathrm{BDC} = \angle \mathrm{A}\) より、 \(a = 2R \sin \mathrm{A}\)
したがって、(*) が成り立つ。
(ii) \(\angle \mathrm{A} = 90^\circ\) のとき \(\angle \mathrm{A} = 90^\circ\) であるから、円周角の定理より \(a\) は直径となる。 \(a = 2R\)
ここで、\(\sin \mathrm{A} = \sin 90^\circ = 1\) であるから、 \(a = 2R \sin \mathrm{A}\) とも表せる。
したがって、(*) が成り立つ。
(iii) \(\angle \mathrm{A} > 90^\circ\) のとき 頂点 \(\mathrm{B}\) を通る外接円の直径を \(\mathrm{BD}\) とし、点 \(\mathrm{D}\) と点 \(\mathrm{C}\) を結ぶ。
\(\mathrm{BD}\) は直径なので \(\angle \mathrm{BCD} = 90^\circ\)
また四角形 \(\mathrm{ABDC}\) は円に内接するので、 \(\angle \mathrm{A} + \angle \mathrm{BDC} = 180^\circ\)
\(\triangle \mathrm{BCD}\) は直角三角形なので、 \(\mathrm{BC} = \mathrm{BD} \sin \angle \mathrm{BDC}\) \(\mathrm{BC} = a\), \(\mathrm{BD} = 2R\), \(\angle \mathrm{BDC} = 180^\circ − \angle \mathrm{A}\) より、 \(\begin{align} a &= 2R \sin (180^\circ − \angle \mathrm{A}) \\ &= 2R \sin \mathrm{A} \end{align}\)
したがって、(*) が成り立つ。
(i) ~ (iii) より、\(\angle \mathrm{A}\) の大きさによらず \(a = 2R \sin \mathrm{A}\) すなわち \(\displaystyle \frac{a}{\sin \mathrm{A}} = 2R\) が成り立つ。
(証明終わり) このように、正弦定理の一部分が証明できました。 同様の手順で、次の \(2\) つの等式も証明できます。 \(\displaystyle \frac{b}{\sin \mathrm{B}} = 2R\) \(\displaystyle \frac{c}{\sin \mathrm{C}} = 2R\)それらを総合すると、正弦定理全体を証明できます。 \(\displaystyle \frac{a}{\sin \mathrm{A}} = \frac{b}{\sin \mathrm{B}} = \frac{c}{\sin \mathrm{C}} = 2R\) 理解が深まるので、時間のある方は一度全体を証明してみてくださいね。 正弦定理の覚え方 「正弦定理が覚えられない!」という人は、簡単な図形とともに覚えておきましょう。 正弦定理は、「対応する辺と角の正弦 \((\sin)\) の比」についての定理です。 このことを、まず頭に叩き込んでおきます。 また、「正弦定理には外接円が関係する!」ということも要チェックです。 最後に、正弦定理の分数が三角形のかたちのように下(分母)が長い \(\sin\) の値であることをイメージ付けておきましょう。 正弦定理の計算問題 最後に、計算問題を通して正弦定理の使い方をマスターしましょう。 正弦定理を使う基本的な問題のパターンは次の \(2\) つです。 Tips正弦定理が使える場面は… 対応する辺と角が \(2\) 組あり、そのうちの \(1\) 辺または \(1\) 角を求める 対応する辺と角が \(1\) 組わかっているとき、外接円の半径を求める両パターンの解き方を把握しておきましょう。 計算問題①「正弦定理で辺の長さを求める」 計算問題①\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、\(a = 10\)、\(\angle \mathrm{B} = 60^\circ\)、\(\angle \mathrm{C} = 75^\circ\) のとき、\(b\) を求めよ。
この問題では、一見、対応している辺と角がどこにもありません。 このほかに、簡単に数値が求められそうなところはないでしょうか? \(2\) 角がわかっているので、残りの \(\angle \mathrm{A}\) も簡単にわかりますね! すると、対応する \(2\) 組の辺と角(\(a\) と \(\angle \mathrm{A}\)、\(b\) と \(\angle \mathrm{B}\))に正弦定理を適用できますね。 解答
三角形の内角の和は \(180^\circ\) なので、 \(\begin{align} \angle \mathrm{A} &= 180^\circ − (60^\circ + 75^\circ) \\ &= 45^\circ \end{align}\)
\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、正弦定理より \(\displaystyle \frac{a}{\sin \mathrm{A}} = \frac{b}{\sin \mathrm{B}}\) すなわち \(\displaystyle \frac{10}{\sin 45^\circ} = \frac{b}{\sin 60^\circ}\)
\(10 \sin 60^\circ = b \sin 45^\circ\)
よって \(\begin{align}b &= \displaystyle \frac{10 \sin 60^\circ}{\sin 45^\circ}\\&= \displaystyle \frac{10 \times \frac{\sqrt{3}}{2}}{\frac{\sqrt{2}}{2}} \\&= 5\sqrt{3} \times \sqrt{2} \\ &= 5\sqrt{6} \end{align}\)
答え: \(\color{red}{b = 5\sqrt{6}}\) Tipsわかったことをすぐに図に書き込んでいくと、どんどん問題のヒントに気づけるのでオススメです! 数学が苦手な人ほど、頭の中だけで解こうとして図を書きません。 賢い人ほど、図を書きながら情報を正しく整理できます。 計算問題②「正弦定理で外接円の半径を求める」 計算問題② \(\triangle \mathrm{ABC}\) において、\(b = 6\)、\(\angle \mathrm{B} = 30^\circ\) のとき、外接円の半径 \(R\) を求めなさい。
外接円の半径を求める問題では、正弦定理がそのまま使えます。 \(1\) 組の辺と角(\(b\) と \(\angle \mathrm{B}\))がわかっているので、あとは正弦定理に当てはめるだけですね。 解答
\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、正弦定理より \(\displaystyle \frac{b}{\sin \mathrm{B}} = 2R\)
よって \(\begin{align} R &= \frac{b}{2 \sin \mathrm{B}} \\ &= \frac{6}{2 \sin 30^\circ} \\ &= \frac{6}{2 \cdot \frac{1}{2}} \\ &= 6 \end{align}\)
答え: \(\color{red}{R = 6}\) 以上で問題も終わりです!
正弦定理の計算は複雑なものではないので、解き方を理解できればどんどん問題が解けるようになりますよ! 合わせて読みたいなお、正弦定理とごちゃごちゃになってしまいがちなのが、余弦定理ですよね。 「余弦定理」や「正弦定理と余弦定理の使い分け」については、以下の記事も参考にしてくださいね! 余弦定理とは?公式の覚え方や証明、計算問題の解き方 正弦定理と余弦定理の使い分けを徹底解説!練習問題も |
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