【新聞に喝!】東京新聞のクラウゼビッツ珍解釈 日本大教授・小谷賢

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【新聞に喝!】東京新聞のクラウゼビッツ珍解釈 日本大教授・小谷賢

2023-02-05 18:46| 来源: 网络整理| 查看: 265

参院本会議で答弁する岸田文雄首相=1月24日午後、国会(矢島康弘撮影)参院本会議で答弁する岸田文雄首相=1月24日午後、国会(矢島康弘撮影)

1月8日に東京新聞の社説が新しい国家安全保障戦略を批評する趣旨で、以下のように論じた。「戦争とは政治の延長線上にあると指摘したのは、プロイセンの軍事学者クラウゼビッツです。長年読み継がれる『戦争論』の慧眼(けいがん)に学べば、軍事的衝突は政治・外交の失敗にほかなりません」。しかしこの指摘はクラウゼビッツの慧眼とはいえない。

クラウゼビッツは19世紀のナポレオン戦争に衝撃を受け、戦争を哲学的に考察した『戦争論』を記したことで知られている。ただし彼は晩年に考えを変え、原稿を書き直そうとしたが、その前に他界し、夫人の手によって現在の戦争論が出版された。つまり戦争論は未完の書物であり、その内容は難解かつ、矛盾している箇所もある。そのため出版後、多くの軍人や政治家が自分の都合のいいように同書を解釈、実践しており、「クラウゼビッツ読みのクラウゼビッツ知らず」ともいうべき状況が生じている。上記の主張もその一つであろう。

クラウゼビッツは戦争が政治・外交の失敗などと主張しておらず、むしろ「戦争は政治的動機によってのみ引き起こされる」として、有名な「戦争は他の手段をもってする政治の延長」という言葉を導き出した。彼の慧眼は、それまで軍事のみの領域とみられてきた戦争という行為を政治と結びつけた点にある。16世紀に生きたマキャベリなどはクラウゼビッツよりもはるか前にこの考えにたどり着いていたのだが、クラウゼビッツは戦争が国家戦略のためのツールに過ぎず、戦争は政治のあり方に左右される、という点まで持論を昇華させた。つまり戦争で国家目標が達成されるのであれば、政治はそれも選択肢とする、ということになり、失敗かどうかは戦争の結果からしか測れないということになる。東京新聞の社説のように最初から軍事衝突を失敗と捉えるのは、戦争を悪とする価値観にとらわれているともいえよう。

2022年2月、ロシア政府は数週間で目的が達成できると判断したため、ウクライナへの侵攻を決断した。恐らくクラウゼビッツならば、この判断を道義的に批判したりしないだろう。しかし想定外ともいえるウクライナ軍の奮闘と欧米の熱心な援助によって、ロシアのもくろみは覆されることになる。そこで初めて軍事侵攻に訴えたロシアの判断は誤りだった、と指摘できる。これは結果論であり、そこに価値判断の入り込む余地はほとんどない。戦争論を正しく読み解くことができれば、現在にも通じる指摘が多々あることに気づくだろう。

【プロフィル】小谷賢

こたに・けん 昭和48年、京都市生まれ。京都大大学院博士課程修了(学術博士)。専門は英国政治外交史、インテリジェンス研究。著書に『日本インテリジェンス史』など。



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