出生率1.1割れの中国、専門家が「子育て支援策だけでは改善不可能」と考える事情

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出生率1.1割れの中国、専門家が「子育て支援策だけでは改善不可能」と考える事情

2024-07-14 02:05| 来源: 网络整理| 查看: 265

初婚年齢の上昇:2010年の平均24.9歳から2021年は同28.7歳に上昇。大学、大学院進学率の上昇に伴い、就業年齢が後ろ倒しになっていることも一因。 若者の子育て意欲の減退:出産適齢期(15~49歳)の女性が希望する子どもの数が、2017年の1.76人から2021年は1.64人に低下。世代が下るごとに数が減り、1990年代生まれは1.54人、2000年代は1.48人だった。 出産適齢期女性の人口減少:出産適齢期(15~49歳)の女性の人口は今後15年で286万人減少する。現実的な出産適齢期である20~40歳の女性の人口は191万人減る。 「産まない」女性の増加 企業家は危機感あらわ

中国の出生率の推移

情報提供元:datacatalog.worldbank.org(DataCommons)をもとに編集部作成。

1970年代に始まった一人っ子政策が廃止されたのは、労働力の減少と高齢化の進行に対処するためだ。廃止翌年の2017年には出生数が増加したが、2018年に再び減少し、以降6年連続で減少している。2020年代に入り中国政府は「出産の奨励」に舵を切り、出産手当・育児手当の導入、産休・育休の拡充、不妊治療支援、住宅購入優遇など各地で支援策が導入された。

世論を見る限り、少子化に最も危機感を持っているのは人口ボーナスの恩恵を最も受けてきた経済界の重鎮たちだ。

全人代代表で経営者の周燕芳氏が2022年に「大学院生の結婚と出産を奨励する」提言を行い、中国最大の飲料メーカー娃哈哈(ワハハ)集団の創業者である宗慶後氏は2023年にテレビ番組で「若者は早く相手を見つけて結婚し、子どもを産んで国家に貢献せよ」と呼びかけた。

ただ、彼らの呼びかけは若者を取り巻く実情や当事者の気持ちを無視した圧力と受け止められ、いずれもSNSで炎上を招いた。宗氏については自身の後継者である41歳(当時)の娘も独身だったことから、「まず自分の子どもを何とかしろ」と総ツッコミを受けた。

「隗(かい)より始めよ」を実行したのは、インターネット旅行会社大手である携程集団(トリップドットコムグループ)の取締役会長・梁建章氏だ。携程集団は2023年7月、子育て中の従業員に子どもが5歳になるまで1人につき毎年1万元(約20万円、1元=20円換算)の手当を支給する育児手当を導入した。

梁氏は人口問題を中心に研究する経済学者としての顔も持ち、国家統計局が出生者数を発表した直後、政府としても児童手当を創設するようSNSで提言した。子ども1人なら月1000元(約2万円)、2人だと月3000元(約6万円)、3人で月6000元(約12万円)を支給するほか、2人の子どもがいる家庭は所得税や社会保険料の半額、3人目は全額を免除することを提案。GDPの4%を出産・育児の支援に投じることで出生数の上昇につながるというのが同氏の主張だ。

人口学者は短期的な改善に否定的

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一人っ子政策廃止前、2014年の春節で帰省するための駅で列車を待つ人たち。「人口が多すぎる」は中国人の共通認識だ。

Reuter

人口学会の見方はやや楽観的、というかより長期的な視点に立っている。2023年の出生数は902万人だったが、関係者は900万人割れもあると覚悟しており「予想より良かった」というのが本音のようだ。2022年は107万人、2021年は138万人減少しており、2023年の54万人減は「緩やかな減少」と捉えている。

2024年について、中国人口学会会長で中国人民大学教授の翟振武氏は、「辰年なので期待している」と語っている。辰の十二支獣である龍は中国で皇帝や神の象徴とされ、辰年生まれの子どもは出世するとの言い伝えがあることから、前回辰年だった2012年にもプチベビーブームが話題になった。翟氏は子育て支援策が整備されれば、出生率は1.3以上に上昇すると試算する。

人口学会副会長の原氏は、児童手当など経済的な支援策の有効性を認めながらも、現地メディアの取材に「北欧の先進国は子育て支援策にGDPの3%前後を投入しているが、出生率が明確に上がったという裏付けはない」と語っており、政策支援による出生率の短期的な上昇は不可能という考えに立つ。実際、教育や出産などの子育て支援にGDPの4%を支出し、子育て支援のモデル国として知られるフィンランドの合計特殊出生率は2010年に1.89だったのが2019年に1.35まで低下している。

原氏は出生数の低下は文化や価値観の変化が大きく関係していると主張し、出生率が5~6だった1960年代の中国社会を「社会保障制度がない時代は、子どもは家庭内労働力で、親が老いた後の介護要員だった。多くの子を持つことに経済合理性があり、子どもがたくさんいることが幸せという価値観だった」と説明した。一方、今の社会は「自分の成長」が豊かさの中心にあり、自分の成長に影響を及ぼすものは、結婚や子どもであっても放棄する価値観が強くなっている。

原氏は文化や価値観の変化は、一代、二代の時間軸を要するもので、地道な取り組みが必要だと述べている。

人口爆発より少子化の方がまし?

人口問題の研究者の発言や政府の動きを見ると、中国は長い間一人っ子政策を続けてきただけあって、14億人という人口をまだ多すぎると考えており、人口減そのものは問題にしていないようだ。

国連は中国の出生率を1.4~1.5で計算し、2100年の人口が7~8億人に減るとの試算を公表したが、国務院の報告書も同じく1.4~1.5で計算しており、2050年の人口は13億人と試算した。どこにポイントを置くかで数字の見え方が大きく異なるとも言える。

中国の1990年代前半の出生数は2000万人を超えており、現在30代のこの世代が60歳を迎えるには30年弱ある。時間的猶予があることからも、人口爆発よりは緩やかな少子化を是とする考えも見える。

ただ、発展報告には2022年の出生率が1.075と記されており、現時点でも中国や国連が試算のベースにした「1.4~1.5」を大きく下回っている。世界銀行によると中国の2018年の出生率が1.554。当時に比べれば出産を奨励する政策が増えているにもかかわらず、出生率は雪崩のように低下している。そもそも一人っ子政策を廃止したときに「出生数は2000万人に回復する」と考えていたが、実際にはその半分を割ってしまった。当時から見通しが甘いのだ。

日本も少子化が広く問題視されたのは、1990年に前年の出生率が1.57であるという報告がなされて起こった「1.57ショック」だったが、それから30年経ったが状況はほとんど改善されていないどころか、より深刻な社会問題になっている。

中国で今出産適齢期を迎えている世代は一人っ子がスタンダードで、「2人以上の子どもがいる家庭」のロールモデルが非常に少ない。今の世代に働きかけても効果が限定的という研究者の分析はその通りであると同意しつつも、長年続けてきた一人っ子政策の反動が今後の社会にどう作用していくのか、人手不足社会に身を置いている日本人の筆者は、隣の国のことながら楽観的ではいられない。

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浦上早苗: 経済ジャーナリスト、法政大学MBA実務家講師、英語・中国語翻訳者。早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社(12年半)を経て、中国・大連に国費博士留学(経営学)および少数民族向けの大学で講師のため6年滞在。最新刊「新型コロナ VS 中国14億人」。未婚の母歴13年、42歳にして子連れ初婚。



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